2020年8月12日水曜日

書籍化記録:2020年8月_ラジヲ

 

 ラジオ放送当日の話。

 夏季休暇を取っていて、接続テストは昼からなので寝ていて良いのだけれど、たまに無限に寝てしまうのでいちおう7時半に起きる。相変わらず猫は近くで見守っているだけで起こしてこない。

 起きて猫の水を変えて餌をやって顔を洗って、今から気が重いので食欲がなくてグラノーラだけ食べる。


 メールを見ると朝6時半に構成作家から台本が来ていた。えっ、おまえちゃんと寝てるの……? 

 台本といっても、おそらく想定されるQ&Aがあるだけで、しかも大竹まことも壇蜜も台本に沿って行動しないので台本は気にしなくて自由にやって良いとのこと。大変だな構成作家。六時間以下の睡眠を続けていると身体壊すからな、ちゃんと寝ろよ構成作家。盆と正月は実家に帰れよ、構成作家。


 気が重くてやる気が起きないので、スーパーへ行ってトマトと生ハムとビールを買う。何を作るのかというとトマトファルシですよ。 

 トマトファルシはエースコンバット5に出てきた潜水空母ではなく、トマトをくり抜いた中に肉とか野菜とか詰めるやつである。なんか……あのほら、西のどっかの国の料理だと思う。

 知っているトマトファルシが挽肉やパン粉、野菜を加えてオーブンで焼くタイプなので、オーブンがない我が家では無理かと思っていたが、冷製のもあるらしいということで作ってみることにしたのである。食欲があるのかないのかよくわからぬ。

 作り方は簡単で、ヘタの部分を切ってスプーンで中身を掻き出しておき、硬い部分を刻んだ中身を適当にほかのなんかと混ぜてからトマトに戻すだけである。今回は玉葱、胡瓜、チーズ、生ハム、オリーブオイルを混ぜて塩胡椒とパセリで味付けした。


 自分はトマトが好きで、トマトが野菜最強とすら思っている。

 急に小学生男子みたいな最強議論を始めてしまって恐縮だが、べつだん味が格別に好きかというとそうでもない(嫌いでもないが)。ただ基礎スペックが高い。

 トマトが高度なのは栄養価の高さと「栄養価が高そうな見た目」の両方を保持している点にある。仮に栄養価が高くても栄養価が高そうな見た目をしていないと、心理的な栄養が入ってこないのでいまいち吸収されない気分だが、栄養価が高そうな見た目が心に浸透して衝撃を与える。

 さらに生で食べられるのが素晴らしい。皮を剥く必要がないため、朝もう人生面倒くせぇはぁくそうもう駄目だ、というときは洗ってそのまま食べればいい。焼いてもいい。煮るのもありだ。

 水分が多いのも素敵である。いつも飲み物飲んでいるような人間なので、水分は重要だ。


 余談だが(もうどこから余談なのかわからないが)ラジオで食事の話をしたときに肉ばっかり挙げたのは肉が好きだからではなく、ほかの食べ物だと名前を聞かれても答えられないし味の評価も「なんか味がすごい」とかしか言えないからである(あとただのギャグ)。肉は「柔らかい」と正直に言っておけばとりあえず伝わるのだ。

 閑話休題。



 完成。

 トマトの中身をくり抜いてから他の具材と混ぜて戻すわけで、抜けるのが水分だけなのでどう考えても中に入れる具が余る。余ったぶんはパンに載せて焼くことにする。食欲がないので昼飯はトマトファルシと中身パンだけで良さそう。

 死にそうな調子のまま『Dark Devotion』をTrue Endでクリアして早めの昼食。トマトはよい。微妙にコスパが悪いのが欠点か。いまの1.7倍くらいの大きさのものが通常版になってほしい。


 12時半に接続テスト。

 接続は最初はZoomかSkypeの都合が良いほうで、という話だったが、どっちでも良いので文化放送側の好きなほうにしてほしいと提案してみると、文化放送独自のシステムを用意すると言われていた。えっ、いや、あの、べつにZoomでもいいよ……? 無理しなくても。

 この日までにZoomとSkypeは試していたのだが、Zoomは問題ないけどSkypeは接続できない。なんでじゃ。まぁいいや。

 接続テストは特に問題なし。向こうはなんというか貸し会議室を外から見たような小スペース。よくあるオフィスの長テーブルを連結させて正方形にしたようなものが置かれていて、マイクが六本くらい突き出ている。奥には大きな窓が見え外の風景が見えるが、東京なので電子スクリーンで架空の空を写しているのかもしれない。手前側のこちらとはやはり窓で区切られているので、おそらくあちらが放送側、こちらが制御側で制御側に映し出されているのだろう。


 ちなみにこの日のために3000円くらいのマイク買ったのだけれど、よくよく考えると接続がUSBで、MacBookはUSBもLANポートもないのですよね。穴がUSB-Cとイヤホンしかない。

 USBへの変換ケーブルとLANポートへの変換ケーブルはあるのだけれど、同時には使えない。無線でも繋げるが、音声だけではなくて画像も送るのでWiFiだけというのは少々厳しい、ということでマイクを諦めることに。なんで買ったんだこれ。

 

 その後14時まで仮死状態で、14時15分に再接続。

 繋がりはしたものの、なぜか音声が出ないし向こうも聞こえない。まだ音声切っているのかな? と考えて生放送のことは忘れて一昨日から始めたSwiftの学習を始める。Swift UIはプレビューしながら構築できるので便利なのだが、画面を占拠するのが困り物。まぁ開始までいいじゃろう——などと考えていると向こうの画面が動き、カンペのようなボードに『ミュート解除できますか?』の文字が。あっ、問題あったのこっちか。

 やべっやべっ、と思ったのだが酒飲みながらだとわりと余裕が出るな。逆に何が原因かわからなかったので、一度ブラウザ閉じてもう一度開いたら直った。現在14時21分。あと4分。うひょーぎりぎり。


 生放送開始。手が震える。酒で誤魔化すしかない。クレ556のCM入れてるときにフライングしてしまった。

「蝉の声がめちゃくちゃ聞こえる」というようなことを言われたのだけれど、ヘッドホンをしているせいでよくわからない。Macbookのマイクの集音性が良すぎるのだろうか。もしかすると「東京と違ってクソ田舎の長野だと虫の音なんかが聞こえてきますのねオーホホ」という罵倒だったのかもしれない。

 ちなみに大竹まことは「耳鳴りなのかよくわからない」と言っていた。名雲桂一郎か。


 緊張で言葉が出てこない。

「暑いですね」に対して「南極の昭和基地も今はたぶん(マイナス)30度くらいなので同じくらいですね ^q^」とか想定していたのにそこまでつながらなかった。

 さらにはパニックで極夜が出てこない。相当である。日常会話で言えばうどんが出てこないレベル。「あの〜えっと、蕎麦じゃなくて、その、似てるけどこうあの……白いやつ、ほら、知ってるでしょ?」みたいな状態だった。


 最後に壇蜜がまとめに入っているタイミングで「いやそれは正確ではなくて」とか言い始める研究者にありがちなクソムーヴかましてしまう。うわー。こういう時間配分ができない輩になりたくないと思っていたのに。

 14時58分、終了。

 終わると腹が減ってきた。飲んでいるのでバイクに乗れないため、歩いてセブンイレブンまで行って唐揚げ棒を2本買う。暑い。今日も暑い。






2020年8月5日水曜日

書籍化記録:2020年7月_サイン


 発売日はまだだが、先んじて献本用の書籍9冊が届く。もともとは10冊だったのだが、1冊は「出版されたら1冊送ってくれ」という極地研からのかつての要請に応えて送っておいた。

 残り9冊。さてこの献本はどう扱えば良いんだろうか。ブックオフに売るか(SIMPLE2000シリーズThe最低)。
 そもそも献本という制度、使い方がよくわかっていない。論文でも出すと別刷りという、コピーみたいなものを貰えるのだが、これも使い道がよくわかっていない(昔は人に配ったりしたのだろうが、現代だとオープンアクセスならWEB上でダウンロードできるのでいっそう出番がない)。
 エロ小説とかとカバーすり替えて河川敷に置いておくと男子小中学生が寄ってきて面白いかもしれないが(そこからセクシーコマンドーに目覚めるかもしれないし)、新書サイズなのがネック。

 そういえば学生時代、卒業生が新しく訳した『カラマーゾフの兄弟』(これも光文社であった)を全校生徒に1巻を1冊ずつ配ってくれたような覚えがあるが、あれは訳者が献本を回したのか、訳者自身が購入して配ったのか、学校が買ったのか、それともドストエフスキーの霊がやったのか。
 1学年7クラスだったから3学年でだいたい7, 800人か。簡単のために800人800円だと64万円。うーん……? さすがに訳者が購入というのはないか……? といっても高校の図書費用で軽く出せる金額でもないし。
 なんかよくわからないおっさんが自治体に一千万寄付したりすることがあるらしいし、金はあるところにあるから訳者が買ったのかなぁ。

 理想的には知らない人に読んでもらうことである。というのも知人に読まれるのは恥ずかしいので厭だからである。基本的に自分の人生、誰からも無視されて存在を感じられずに生きたい
 とはいえ、さすがに知らない人にいきなり本を送りつけるのもアレなわけで、しかし宣伝はしなくてはならないし……などと考えていくと、これは「日常会話をするような身近な人間ではないけれど、過去に知人だった(直接は感想を聞かないで済む)人に送るのが正しいのではないか?」と思いつく。急にメールで「本が出ました買って」だとアレだが、一冊送って「本が出ました」と知らせれば、そこから人伝に情報が波及するかもしれないし。

 というわけでメールをしたためてレターパックライトを買ってちまちま発送する。これ送付される前に、出版社から「どこかに送りたいところはありますか?」と訊かれていたので、このときにここまで検討しておけば送料とか節約できたな。うむ。





 書籍発売に伴ってnote記事等が動く。
 書籍発売されたので、なぜか(なぜかではないが)『サイン』の話をします。

『サイン』のあらすじを簡単に説明。主人公のメル・ギブソンは事故で妻と信仰を失った元・神父で、いまは弟とともに息子・娘とたまにキレ散らかしながら一緒に暮らしている。弟はやさぐれているし、子どもたちはそれぞれ問題があって日々悩みつつ生きているのだけれど、あるとき自分の農場でよくわからない事件があってそこから信仰に向き合っていく、というストーリー。

 監督はM・ナイト・シャマラン(毎度シャラマンなのかシャマランなのかわからなくなる。これを書いているときも確認したら間違えていた)。『シックス・センス』で有名な——と書こうとしたが1999年の映画だから、若い読者にとっては上映当時は前世だった可能性すらあるな。
 自分は『シックス・センス』はそこまででもないが、『サイン』は好き(また観たいかと言われたらそうでもないが)。ちなみにFilmarks映画レビューだと3.1/5。めちゃくちゃ面白い映画なのだけれど、きっと友だちと喋りながら見たらつまらないというか、批評しなければいけないような見方だと面白くないと思う。

『サイン』はたぶん観た人間の受け取り方で大きく感想が変わる映画で、個人的には事件そのものには意味がないというか何でも良くて、メル・ギブソンの受け取り方にだけ意味があるのだと思う(メルギブソンの行動も面白いのだが)。
 大事なのは、べつに「神さまがいてすべて見守ってくれている、すべては啓示なのだ」とか「この世には奇跡というものがある」ということではなくて、「無駄じゃなかった」とか、「やればできる」とか、「人生良いこともある」とか、そういう肯定的な感情だと思う。

 冷静になって考えてみればサイン(啓示)のはずがなくて、何がサインだアホかおまえはとメルギブソンをバットでフルスイング、ついでにシャラマンの家もフルスイングという話に持っていきたくなるのだけれど、そうじゃなくて、あれはサインで、だからそういうものなのだと、これで良かったんだと、何も間違っていなかったのだと。ダメだったかもしれないけれど全部ダメなわけじゃなかったと。馬鹿だったかもしれないけど全部馬鹿だったわけじゃなかったと。辛かったけどそれだけじゃなかったのだ、暗い話だけじゃなかった、良いこともあったと。そういう話なのだと思う。

 もしかするとシャマラン監督は別のことを言うかもしれないけれど、シャマランよりわたしのほうがこの映画について詳しいので信じてくれて良いです。あいつ家抵当に入れて映画撮ってるからなやばい。





 あまりに売れ行きが気になりすぎて、暇さえあればAmazonや紀伊國屋書店の在庫を確認してしまうので、自動で在庫を確認してグラフを描くプログラムを書く
 といってもcrontabとかでほんとに自動化してしまうとDOS攻撃みたいになってしまうので、走らせるのは手動(そもそも自宅にサーバーがないので、ノートを開いているときに思いついたときだけ実行)。

 Amazonは途中で在庫補充されてしまったので残り数が見られなくなってしまったが、紀伊國屋はWEB書店の在庫(というか大元の在庫か?)が出ているのでわかりやすい。紀伊國屋在庫ありすぎでは? 不安になる。





 長野市で瞬電に近い停電。研究所にいたのでPC等シャットダウンしてしまったがサーバーはUPS(無停電電源装置。バッテリーがついてて30分〜1時間程度の停電であれば頑張ってくれる装置)があるので大した打撃ではない。

 しかし心配になってくるのが家の猫。こういうときに限って窓を閉めて冷房をかけて出てきた日であった。電力会社のページで見ると家の付近は停電してないから大丈夫かな、と思ったけど怖くて買い物せずに急いで帰ってきたら冷房が止まっていた。うぉう。
 幸い、暑さが収まってくるタイミングだったから「ちょっと暑い」程度で済んだが、午前中から冷房止まっていたらと考えると怖い。

 のでクラウド経由で室温を見られる温度計を購入。
 冷房を入れていてもおそらく日中の室温は外気温に近い日変化を示すだろうと思われるので、どのくらいに閾値取れば異常値=冷房停止なのかを判定するために数日モニタリングしておく必要はあるが、これでとりあえず異常は察知できるようになったぜ。





 ニンテンドーストアのリングフィットアドベンチャーの抽選に応募する。応募しただけで痩せた気になる。さすが任天堂。





 スーパー(書籍に載っていたA COOPではない)でブルーベリーが安く売っているのを見つけて買ってしまう。わたくし、子どもの頃から果物めちゃくちゃ好きで、特に桃、林檎、梨、蜜柑、葡萄あたりが好きです。果物は全人類共通の好物だとわりと最近まで思っていたので、そうでもないことがちょっと衝撃である。

 ブルーベリーは日頃食べる機会が少ないので「好きな果物」として特段挙げることはないものの普通に好き。
 果物は単純に何もつけずに食べたい(苺も練乳かけないほうが好き)が、ベリー系は見ると昔食べたハンバーグのベリーソースがけを思い出す。北極の観測基地、ニーオルスンに行く手前のロンブイヤビエンという小さな炭鉱町があるのですが、そこで食したやつ。たしかトナカイ肉だったような。ハンバーグではなく、ハンバーガーだったかもしれぬ。

 果物のソースというと得体の知れない感がすごいけれど、甘いソースに肉というと照り焼きソースとかも似たようなもので、けっこう合うのである。

 といっても味を覚えているわけではなく、なんとなく美味かったレベルの話なので、てきとうに調べつつソースを作ると意外と美味い。半信半疑で食うのでいっそう美味いのが良い。





 文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ』から出演の依頼が来てしまう。ヴァッ。

 人前に出るの恥ずかしいし、そもそも喋るの苦手だから出たくないのだが、『南極で心臓の音は聞こえるか』の話を中心に、ということなので売り上げ考えると出ないといかんだろうなという打算もある。取り次いでくれた編集の人に「出たら売り上げ上がるか」などと訊いてみて、もし「いやぁそんなでもないよ」と言ってくれれば……と思ったらさすがにそんなに都合の良いことは言われなかった。
 スタジオに来てくれ、という話ならコロナ禍でうまく断れたのだが、リモートで良いとのこと。くそ、うまく逃げ道塞いでくるな。

 本だけではなくこれまでの活動も振り返って、などとも言われたがいったい何を喋れというのか。やはり『魂斗羅スピリッツ』か『超魔界村』か、それとも『風来のシレン』か。少し時代を経て『風のクロノア』か『エアガイツ』か、それとも次世代機で『バウンサー』か。捻って『エアロダンシング4』か。突き詰めて『Fallout: New Vegas』か。

 考えるだけでプレッシャーで吐きそうですが、8月12日(水)の14時25〜50分の「大竹メインディッシュ」というコーナーで出演するそうです。なんだこのコーナー名。こういうことラジオでは言ってはいかんのだよな。いまのうちに言っておこう。





 リングフィット当選。これはもう気分だけで5kgは痩せたな。さす任(さすが任天堂)。





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Maira Gall