2018年3月10日土曜日

観測隊/夏の過ごし方


 日本に戻るまでに続刊や新作が発売・再開されないだろうと予想したものとして、

  • Mount&Blade 2(*1)
  • Hunter x Hunter(*2)
  • 氷と炎の歌(*3)

があったのですが、Hunter x Hunterは早くも連載再開して続刊が出ていました。予想を外したぜ。Mount&Blade2も予定通りなら発売されるらしいし、これは氷と炎の歌にも期待せねば。頼むぞ、マーティン。
*1) 盗賊に出会ったら「金ならないが鉄ならあるぞ」と言って斧を振り回せば良いと教えてくれるRPG。スタジオが小規模。
*2) どん兵衛を送ると描くらしい。
*3) 海外ドラマ『Game of Thrones』の原作。最新刊は2011年の『A Dance with Dragons』で和訳『竜との舞踏』発売はその2年後。ちなみに前刊『A Feats for Crows(乱鴉の饗宴)』からは6年ほど間が開いているが、今回は『舞踏』からすでに6年以上開いてしまった。


 さて、例によってまったく関係のない話題で入ったようでいてまぁ関係ないのですが、『氷と炎の歌』の主人公らスターク家の標語といえば「冬来たる」ですが、昭和基地ももう冬です。夏隊はすでに帰路につき、最近は装輪車(キャタピラではない、普通のタイヤをつけた車。昭和基地ではトラック)も片付けられてしまったわけですが、今回は今更ながらに昭和基地の夏生活のタイムスケジュールを書いていこうかと思います。


 まず、夏期間の隊員のタイムスケジュールは以下のようになっています。


  • 朝食 0700-0745
  • 朝礼 0745-0800
  • 午前作業 0800-1145
  • 昼食 1200-1300
  • チーフ打ち合わせ 1240
  • 午後作業 1300-1830
  • 夕食 1845-1930
  • 全体ミーティング 1930
  • 入力 2000-2200


1) 朝食 0700-0745

特に何の解説も必要なさそうなところですが、落とし穴が。0700-0745という時間表記になってはいますが、実際はほとんどの人が7時頃から朝食を食べ始めます。7時45分には朝礼が始まってしまうことや、朝食の後片付けの手間があることなどを考えると、時間ギリギリに朝食を摂るのは得策ではありません。三食とも一夏の一階食堂で摂ることができます。

 朝食に限らずですが、夏期間の食事は砕氷船「しらせ」の海上自衛隊員が調理をします。この調理ですが、大部分の材料はどうやら野外に出るチームの糧食と同じ材料を使っているらしく、「どっかで見たことあるな」というものから、「なるほどこうやって料理するのか」というものも出て来ます。


2) 朝礼 0745-0800

朝礼ではやることは、

  • ラジオ体操
  • 本日作業内容確認

です。

 朝礼でのラジオ体操は建設現場では比較的一般的らしいです。朝礼は設営の建設担当隊員が中心となって行われ、体操のあとの作業内容確認では、大まかな作業内容や注意点、作業人数などを全体の前で報告します。ここではほかに、当直がその日の夕食を発表したりもします。


3) 午前作業 0800-1145

ここから本格的に作業が始まるわけですが、夏期間の作業というと大きくわけて2種類に分けられると思います。すなわち、研究か設営かです。


 →観測隊/観測構成の記事でも見た通り、隊長・副隊長および同行者を除いた隊員は、観測部門と設営部門に分けられています。

 観測部門というのは研究者のほか、気象庁の職員やモニタリング隊員(常設されている観測装置を扱う隊員)が含まれる部門です。
 一方で設営部門というのは、機械や建設土木、電気などといった観測基地を保つための作業を行う隊員が所属する部門です。医療や調理担当も、この設営に含まれます。


 設営分野はその担当者が複数いるのと同様に多岐にわたりますが、夏期間の設営の主役といえば建設作業で、それに関わる隊員やしらせからの支援の海上自衛隊員もいます。しかしながら忘れてはいけないのは、設営作業の主役は設営担当ですが、設営隊員のみが行うわけではないという点です。


 もちろん、南極での主たる活動は研究観測です。資源はなく、というよりもあっても条約で縛られていて採取できず、ただ寒く、薄暗く、見捨てられたような極寒の大地を好き好んで訪れる理由といえば、研究のための観測以外にないのです。もはや冒険家の時代は終わり、ただ南極に立っているだけでは誰も誉めそやしはしないのだから当然です。

 しかしながら、あらゆることどもよりも観測活動・研究活動が優先させるかというと、それはまた別問題。なぜならば、日本の南極観測隊が最優先としているのは「越冬成立」だからです。研究の前には生きていかなければなりません。研究の前に生きなくてはいけないし、観測の前にそのための場所を確保しなければならないのです。


 そういうわけで、設営作業には手の空いている研究隊員も参加します。この場合の「手の空いている」というのは「ただちに行わなければならない作業がない」という意味になります。

 わたしは一般観測研究の隊員で、夏の期間は野外(主に→南極/S17)に出ていた時期が長かったのですが、昭和基地にいた時期は設営作業に参加し、生コンクリートを引き摺り下ろしたり、バケツのバケモノみたいなものをブラシで擦ったり、鉄筋を、こう、なんだ、このクルクルっていうやつで、こう、アレしたりだとか、そういうことをしました。ちなみに設営作業に参加するとシールが貰えます。


 なお午前は10時ごろ、午後は15時ごろに「中間食」と呼ばれる時間があります。菓子パンや缶コーヒーなどが配られる、ようはおやつタイムです。寒冷の気温や重い作業の中において、甘味で安らぐのは重要です。


4) 昼食 1200-1300

お昼です。昼食と同様、早めに食べてしまいます。


5) チーフ打ち合わせ 1240

夏期間は毎日、基本的にふたつのミーティングがあります。そのうちのひとつがお昼に行われるこのチーフ打ち合わせです。名前からは各チームの首脳陣が集まるような仰々しい会合に見えますが、実際は食堂の椅子か床に座って行われるこじんまりとした打ち合わせです。

 内容としては当日の打ち合わせではなく、翌日の作業内容の確認となっており、この中で人員や車両の調整が行われます。


6) 午後作業 1300-1830

午前作業と同様です。中間食は15時ごろにあります。


7) 夕食 1845-1930

夕餉は朝食や昼食に比べると時間通りに食べるパターンが多いです。これは午後作業が思いの外、長引くパターンがあるせいかもしれません。

 ちなみに夕食後にビールが配布されたりもしますが、夏作業の間は夕餉の間に酒を飲むことはできません。


8) 全体ミーティング 1930

毎日行われるミーティングのうちの二つ目です。昼のミーティング(チーフ打ち合わせ)はすべてのチームがそれぞれ報告する形でしたが、こちらの全体ミーティングでは何か用件がある隊員/チームのみが発言します。


9) 入浴 2000-2200

入浴可能な時間はさほど長くはなく、この2時間のみです。洗い場は4つありますが、4人が入れるほどの広い浴槽ではありません。そのため、入浴時間帯には風呂場の前の洗面所付近で空くのを待ってたむろしている隊員の姿が見られることが多いです。


 以上が夏の昭和基地での日程となります。夏の過ごし方としては以上です。

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Maira Gall