2018年11月5日月曜日

観測隊/昭和基地の娯楽


 Hunter x Hunterの36巻がいつの間にか発売されていました。

 前に書いたと思うのですが、南極行っている間に発売されないと予想したものとして、

  • Mount&Blade2
  • 氷と炎の歌の続刊
  • HunterxHunterの続刊

があったのですが、だいぶん裏切られました。しかし『M&B2』と『氷と炎の歌』はど安定っぽくて嬉しくない(*1)。
*1) 『氷と炎の歌』に関しては、
という流れなので帰るまでに出版されないことはほぼ確定である。

 即座にWikiとかで訳が進む『M&B2』と違って(貴様の頭蓋骨で祝杯を挙げてやる)、小説の『氷と炎の歌』は出版されてから訳本出るのに1-2年かかるので切実です。というかもうだいぶん時間経っているから話忘れてしまった。
 そういえば、いちおうドラマ版『ゲーム・オブ・スローンズ』も前半見てたんだけれど、途中で止まっているのですよね。アレ、結末が違うんだっけか。殺陣がうーむなのが引き摺って見なくなってしまった。『GoT』に限らず、海外の殺陣はあんまり好きじゃないのが多くて、たとえば『ペイルライダー』でイーストウッドがかっこよく棒くるくるして敵を倒すシーンとか「はいかっこいいね」で終わってしまって素敵じゃない。『ボーン・アイデンティティー』のCQCとかは好きなんですが。コメディだけど『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』とかも殺陣すごい好きなんですよね。あのくらいはちゃめちゃでいい。すごいな、光速で話が逸れ続けていく

『氷と炎の歌』は〈王殺し〉のジェイミー・ラニスターがいちばん好き(あとシオン・グレイジョイ)で、初登場時から7歳の子どもを窓から投げ落として半身不随にするとか、ザ・クソ野郎なのですが、なんだろう、シオンもクソ野郎だし、アレだ、クソ野郎が好きなんですね。わたくし。ブライエニーと旅するところがとても良い。
 ブライエニーは原作の作中だと醜女扱いされているのですが、明確にどう醜女かというと大柄で男性的な見た目というだけ(だったはず)で、明確に「醜女」というかんじがしないというか、文化的な「美人ではない人」なんですよね。だからドラマ版のグェンドリン・クリスティーが美人過ぎてもあまり間違っていないわけで。
 佐藤賢一の『王妃の離婚』でジャンヌ・ドゥ・フランスが「足萎えのジャンヌ」として不美人の代表みたいな扱いだったけど、結局当時の歴史的なバックグラウンドからだと不具の人間が過剰に石を投げられる(小説的には〈蜘蛛〉ことルイ11世に鼻が似ているというのもあるけど)ということで貶されていた感がないでもなく、ブライエニーもそんなかんじなのかな、と思いました。

 あとアリアに剣の稽古してくれるシリオがけっこう好きだったのですが、ドラマ版だと時間稼ぎするところでガチガチの重装備の〈王の盾〉相手に木剣で突きをして折っちゃうって、ブレーヴォスの筆頭剣士はボケてるの? いや原作描写として確かにそんな感じだったかもだけれど、もっとこう時間稼ぎする感覚で、戦闘してほしいというか。
 ついでにジャクェン・フ=ガーとか顔がまともすぎるというか、もっとこう変態チックなイケメンを期待していたんだけれど、普通のイケメンでは。なんだここは、イケメン畑か。いや変態が好きなだけか。変態とクソ野郎が好きとか未来が見えない。

 例によって前置きでだいぶ文字数を消費しましたが、なんだっけ、このブログは。記憶が。

 もうすぐドームふじに行くため2ヶ月半ほど留守にする(その後は帰路になる)ので今のうちに記事を一本くらい書いておこうと思ったのですが、まともな内容を書こうとするといちいち資料で確認するのが面倒なので適当に書ける内容を探しに我々はアマゾンの奥地へ向かった。

 今回は昭和基地の娯楽に関するお話です。
 娯楽といっても人によってはさまざまで、たとえば松永久秀は蓑虫踊りを見るのが趣味だったそうですが、今回は「専用の道具・設備が必要で、それに関する設備が存在するもの」について紹介します。


インドア


 ほとんどのものは管理棟二階のバーにあります。

ビリヤード(キャロム)


 一般的なビリヤードといえば四ツ角に穴の空いたポケットだと思いますが、昭和基地のバーに備え付けられているのは穴のないキャロムです。キュー、ボールなど必要な器具も十二分に存在しており、対戦相手がいればいつでも楽しむことができます。

 59次では四つ球ルールがメインで大会が行われていました。現在は第五回大会が開催中です。はぁ? わたしは一回戦で負けましたが? 何か? 問題でも?



麻雀


 南極といえば麻雀。第一次南極地域観測隊の越冬隊長である西堀栄三郎が麻雀にキレ散らかしていたことはご存知かと思います。
 雀卓はビリヤード台の脇に存在しています。もちろん牌も揃っており、台の真ん中には賽子をこう……良いかんじにする部分もあります。

 鳴くとか、最初から輸血しておくと有利とか、藤堂が平然とやるとかは知っているのですが、細かいルールはよく知らず、うまく解説できません。なんか南を絡めると点数が上がるとか上がらないとか逸話も聞いたような気がしますが、採用されているのかいないのか。



ダーツ


 ビリヤード台を挟んで麻雀台の反対側には電子ダーツボードと点数表示用のディスプレイがあります。

 これも20点の3倍のところに毎回当て続けるとすごいということくらいしかルールは知りませんが、プレイヤーを登録して点数の記録をつけたりすることなどもできるようです。



パチンコ


 電子ダーツのディスプレイ隣にはパチンコ(パチスロ?)台が3つ並んでいます。

 が、賭け事とかガチャとか基本無料とか嫌いなので例によってルールがよくわかりません。ビル傾けて玉を穴に入れれば良いのでしょうか。まるで亡霊のダンス……浮遊し乱舞するだけ……!




音楽


 ミュージコゥは万国共通です。バーにはギター、ベース、ドラム、ウクレレ、マラカスなどがあり、腕に自信があるならばミッドウィンター祭でバンドを組んだり、感極まって客席にダイヴしたり、音楽性の違いで解散することができます。



卓球

ピンポン球は異常に大量にあり、おかげで先日の誕生日会では概要をここに書いたら日頃の行いのせいも含めて現実を疑われそうになるピンポン球を用いたシステムを完成させることができました。

 ラケットに関しては怪しいですが、ネットはあります。それにラケットが足りないのであれば、理系らしくキムワイプ(*2)を使えば良いのです。
*2) 日本製紙クレシアから販売されている紙ウエス。理系分野ではよく使われているせいか、箱をラケット代わりに使う「キムワイプ卓球」なるものが行われている大学もある。



ボードゲーム


 バーにはボドゲも大量に。将棋、オセロはもちろんのこと、『汝は人狼なりや否や』(*3)『どうぶつしょうぎ』『ジェンガ』などメジャーからマイナーなものまで取り揃えております。
*3) 推理・トークゲーム。十数年前にオンラインで流行し、多数のクローンが誕生した。一部のMMORPGでもチャットを使って行われていたりもする。

 アナログ版『人狼』って初めて見たけどこういうかんじなのね。絵も綺麗でけっこう好き。




映画


 管理棟3階の食堂隣、サロンには長年の堆積物である映画が多数取り揃えてあります。中にはかなり古いものも。



読書


 昭和基地には多数の蔵書がありますが様々な場所に散っており、食堂には南極関連の書物が、庶務室には小説や専門書などが、洗面所や居住棟には漫画が揃えられています。越冬中にすべての本を読み終えることは困難でしょう。





アウトドア


 ブリザードの最中に外歩きをするだけでエクストリーム散歩になる昭和基地ですが、平時に外遊びができるような道具ももちろん取り揃えております。




釣り


 以前に→南極/漁協と釣りと生態調査で紹介したように、南極での釣りは一般的な娯楽です。小さいものではショウワギス、大きいものだとライギョダマシ捕獲に向け、漁協係は日々邁進しています。



球技


 球技と一括してまとめてしまいますが、一般的なスポーツに使用されるようなボールは基地に揃っています。いつでも遊びたい放題。あと必要なのは友だちだけだ。



スノーボード


 なんか写真が酷いですがスノーボードはもちろんあります。ソリも。

 残念ながらリフト設備はありませんが、天然のスロープで滑走は可能です。上りは歩けば良い運動になるでしょう。



筋トレ


 己を鍛えるという概念から対極の存在なので自分はほとんどやりませんが、隊ではわりと人気コンテンツな筋トレです。ウェイトトレーニングの装置は各種取り揃えております。




 というわけで今回は昭和基地の娯楽(道具を使うもの)を紹介しました。なんかルールがわからんばっかり言っていた気がするが。

 わたしの場合はよくビリヤードをやってるのですが、数日後から2ヶ月半ほどドームふじ基地への内陸旅行に行ってくるので玉撞きができなくなります。帰ってきてからはしらせでの帰路に移ります。日本だとやる機会があるかなぁ。

 帰路は往路と同様、メール経由でテキストオンリーの記事は更新できなくもないので、ちょろちょろと更新するかもしれません。ではまた2ヶ月半後。本日は以上です。







2018年11月3日土曜日

隊員/車両越冬隊員の場合


 この[隊員]ページ第59次南極地域観測隊の隊員のうち一部に個人的にインタビューをし、纏めたものです。個人の詳細については深く立ち入らず、内容は、

  • 南極での仕事 :何をするために南極に来たか
  • 南極に来た経緯:どうすれば南極に来られるか

に集約されています。


南極での仕事


 雪上車の整備。


南極に来た経緯


 所属している企業が雪上車の製造会社で、社内選考を経て参加することになった。南極に行けるからこの会社に入ったようなもの。
 あまり大きな選考というわけではなく、「行く? 2、3年後に行こうか? じゃあ準備しよう」というような流れとのこと。


南極の感想


 来てみたら想像と違った。
 ここは厳しすぎる。







管理人より


 設営部門、車両担当の方です。南極での車両は大きくわけて二種類で、ひとつは日本でも一般に使用されているようなトラック(装輪車)で、夏の作業時期に使用されています。もうひとつがキャタピラの雪上車で、夏の内陸観測と長きに渡る冬の輸送・観測・旅行活動に使用されます。この方の指す「車両」というのは後者です。

 現在の昭和基地にある雪上車は、PB300という海外製品が僅かにあるのを除き、大原鉄工所製です。なので車両担当の隊員は大原から派遣されてきます。逆にいえば、もし南極に行きたい場合、(毎年1人程度という狭き門とはいえ)大原に行くことが近道といえるようなそうでもないような。

 先日のみずほ・ドーム中継点旅行では3台の雪上車で向かったのですが、その3台がそれぞれエンジン関係のトラブルで走行不能な状態となりました。自分はわりとパラッパラッパーなのでヒートガンでチューブ温めるくらいしかできなかったのですが、この人は車両担当で真面目なので冷や汗どころではなかったでしょう。帰ってきたときには1.5kg痩せていたそうです。

「わざわざこんなに寒いところに来たがるなんて、研究者の方々はおかしいのでは?」としきりに言っていましたが、話聞いてみるとこいつも南極に来たがっていたんじゃねぇか。


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Maira Gall