2018年3月23日金曜日

観測隊/生活諸係

 ここのところだいぶん記事の更新間隔が空いています。

 とはいえこのブログ、仕事ではなく、片手間の趣味でやっているもの。更新が少ないということは仕事に集中して時間が取れなかったということで、きっと良いことなのでしょう。でなければロマサガ2(*1)をやっていたせいかもしれません。
*1) フリーシナリオで知られる25年くらい前のRPG。ロマンシング・サガ2。七英雄をぶった切る。最近サガシリーズは佐賀とコラボしたらしいが意味がよくわからない。

 サガシリーズは実はほとんどやったことがなかったのですが、今回プレイしたことで、
「アリだー」
「流し斬りが完全にはいったのに……」
「ワグナス! 梅酒を漬けたぞ!」
などの元ネタがわかるようになりました。流し斬りは結局覚えずに終わりました。パーティーは最終皇帝/ネレイド/イーリス/サラマンダー/モールでした。あれ、これテンプテーション見切らなくて良かったんじゃ(*2)。
*2) ロックブーケ戦では全員女性で行けばテンプテーションを喰らわないが、そうすると最終戦で困るという初見殺しを回避したはずだったが、亜人は性別不明なのでテンプテーション見切り不要で、皇帝も精神防御で回避できてしまった。

 とまぁそんな南極生活なのですが、南極には余暇を楽しむものが種々様々あります。それらはいろいろな分類ができるかと思いますが、ひとつ大きな分類で括ろうとしたとき、公式に設定されている/されていないという枠組みをひとつ作ることができます。
 公式に設定されている余暇の楽しみ——それが生活諸係です。今回はそんな越冬隊の生活諸係に関するお話になります。

 まず生活諸係とはなんぞやという話から。
 生活諸係というと、小学校の「はいぜんがかり」「いきものがかり」「さかなくしょん」といった係活動を思い浮かべるかもしれませんが、おおよそそのイメージに近いかもしれません。ただし生活諸係は仕事ではありません。

 生活主任からの通達によれば、
 生活諸係の目的は、越冬生活に潤いを与え、心身のストレス発散の一助とし、その様々な活動が昭和基地という社会の潤滑油となり、隊員一人ひとりの越冬生活を支える重要な組織活動である。
ということです。

 今回の第59次南極地域観測隊では、以下の14の生活諸係が存在しており、越冬隊員ひとりひとりがこの中のうちのどれか3-4つに所属しています。

  1. 新聞係
  2. アルバム係
  3. 図書・教養係
  4. イベント・スポーツ係
  5. シアター係
  6. ソフトクリーム係
  7. バー係
  8. 農協係
  9. 漁協係
  10. 工房・ミシン係
  11. 理髪係
  12. ビール・醸造係
  13. アマチュア無線係
  14. 喫茶係

 最初に述べた通り、生活係は仕事ではなく、余暇を楽しむためのものです。しかしながら公式に認定されている活動で、生活主任が存在し、月末には観測部会、設営部会のあとに生活部会も開かる真面目なもので、予算も配分されます。

 それぞれの係の概要は以下の通りです。

新聞係
 その名の通り、新聞を作成する係です。毎日一枚、主として前日の出来事などを書いた新聞を掲示板に掲示します。


 この係のみやや特殊で、新聞係のみが新聞を作成するのではなく、越冬係全員が持ち回りで一日編集長となり記事を書くことになっています。昭和基地の蔵書を調べると第13次(1970年代)から全員参加型の新聞があったようで、どうもその頃からの伝統のようです。


アルバム係
 その名の通り、帰国後のアルバム作成に向けての写真撮影が主な活動ですが、それ以外にも隊員からの応募を募ったフォトコンテストを開催したりもします。

 本来なら最近の写真コンテストの入賞作品をここに転載するべきなのでしょうが、そうするとたぶんこのブログが消されることになってしまうのでやめておきます。


図書・教養係
 図書・教養係はその名の通り、昭和基地内の蔵書を管理するのが仕事です。昭和基地には先人が残していった図鑑、伝記、学術書、隊次作成の新聞、小説、漫画など様々な書籍が存在しています。


 それ以外に、隊員同士で互いの仕事内容を知るための職場訪問や、南極大学といった行事の運営も行います。第一回の職場訪問はちょうど明日(24日)に行われる予定です。


イベント・スポーツ係
 誕生日会やスポーツ大会などといった、さまざまなイベントの企画運営を行う係です。


 ブログ掲載用の写真を整理していたらイベント係関連でわりとやべー写真があったので、安全なスポーツ大会(先日のドッジボール大会)の写真でお茶を濁しておきます。


シアター係
 映画の上映を行う係です。書籍と同様、DVDも昭和基地にはたくさんあります。たまにTwitterで感想を呟いているのはシアター係の映画上映のものです。

 伝説によれば古代のいやらしいビデオもあるという話ですが、規格が合わなくて見られないかもしれません。


ソフトクリーム係
 ソフトクリームを提供する係です……この説明要る?


 ちなみに砕氷船しらせでもソフトクリームは提供されていました。写真はしらせ内での看板。左上のは指


バー係
 基地内のバーの運営をする係です。


 今次のバーの店名は『五九楽亭』。基本的に週に一度オープンし、係の人間がエイヒレを炙ったり、シェイカーでカクテルを作ったりしていますが、それ以外にも悪い大人たちが毎日のように「自主バー」と嘯いてバーに赴いています。ちなみに最近は日本酒とウィスキー飲みすぎにより、ついに調理から制限令が発令されました。


農協係
 基地内で野菜を育てる係です。南極で植物を育てることについてはいろいろと縛りがあるそうで、あらかじめ申請したもの・場所でのみ育てることができるようです。


 作った野菜は調理担当へと回され、食事の材料になります。南極では生鮮食品は貴重です(実際、そろそろ生のキャベツや白菜等は終わりになっています)。特にもやしは1週間程度で育つので、既に何度も収穫され、食卓に上っています。


漁協係
 釣りを行う係ですが、他の係よりも目的意識が強いかもしれません。この係の最大の目的は「ライギョダマシ」という南極海に住む巨大魚を釣り上げることです。


 現在基地内に貼られているライギョダマシの魚拓の最大のものは57次隊の157cm。小柄な人より大きいくらいのこの怪魚を釣り上げるには釣竿ではなく固定設置の器具を使うらしく、海氷が安定する時期に向けて今から準備をしています。


工房・ミシン係
 DIYを行う係です。南極ではちょっとしたものでも買い出しに行くわけにはいきません。なのでものづくりを行ってくれる係は貴重で、観測や設営活動の中でもお世話になる係です。

 必要な物資や服の裁縫のほか、今次では夏隊見送りの横断幕も作成しました。 


理髪係
 昭和基地内には風呂場(梅の湯)の隣に理髪室があり、ここで調髪を担当するのがこの係です。


 係担当の隊員たちは事前に髪を切るための講習を受けてくるそうです。自分も既に一度切ってもらいましたが、そのときの担当者は「指を切るのが上手い」ということでした。


ビール・醸造係
 アルコール醸造を行う係です。

 日本では酒造りは認可がないと違法(でもビール酵母とかその辺で売ってるのだよね)ですが、ここは南極。脱法酒は作り放題ですぐへへ。でもまだ作成には至っておりません。


アマチュア無線係
 アマチュア無線による活動を行う係……なのですがアマチュア無線がそもそもよくわからないので、今度日本けん玉南極支部長に取材に行くときに具体的に何をするのかを訊いておきます。


喫茶係
 昭和基地内のバーの昼の顔が喫茶店です。今次の店名は『純喫茶 舟木(仮)』。


 喫茶のみならず、調理の助けを受けて菓子の提供も行っています。ちなみにバーの酒が枯渇しつつあるのと同様に、喫茶ではコーヒーが枯渇しつつあり、こちらも調理から制限令が発令されています。


 以上が生活諸係でした。改めて見直すと、酒が枯渇しつつあるバー、コーヒーがなくなりつつある喫茶とわりと世紀末なのでそろそろマッドマックスしないといけないかもしれません。





2018年3月12日月曜日

隊員/気水圏夏隊同行者の場合


 この[隊員]ページ第59次南極地域観測隊の隊員のうち一部に個人的にインタビューをし、纏めたものです。個人の詳細については深く立ち入らず、内容は、

  • 南極での仕事 :何をするために南極に来たか
  • 南極に来た経緯:どうすれば南極に来られるか

に集約されています。


南極での仕事


テーマ『全球生物科学的環境における東南極エアロゾルの変動』に関連した、砕氷船しらせ船上でのエアロゾル観測機器の保守点検および観測。
また、自分の観測としてガイガーカウンターの放射線観測、太陽アナレンマ(同じ時刻の太陽の位置を追っかけていくと位置が徐々に変わる現象)の観測、空の色の観測。


南極に来た経緯


学部のときの指導教官が前次隊の夏隊で参加しており、そのつてでテーマ『全球生物科学的環境における東南極エアロゾルの変動』の担当者から、2016年12月に今次隊の参加者を探している旨のメールがあり、二つ返事で引き受けて参加することになった。

南極の感想


一言では言えない。
昭和は想像以上に監獄だ。





管理人より


 二人目。大学院生です。若いねー、とか言いだしたらおっさんなので気をつけてください。でも若いとほんとに元気だよな。うむ。カメラが好きなようで、なんか高そうなカメラ&レンズを持っており、観測用にカメラを持ってきたカメラ初心者の自分はいろいろと教えを請いました(でももう忘れた)。

 前回の→気水圏夏隊同行者の場合と同様、彼とも一緒に野外に出かけました。ちなみにこの記事はそのときにインタビューした内容が元だったりします。

 来た経緯については非常にわかりやすい部類で、大学のときの指導教官が南極観測の関係者だったのでしぜんと観測隊に繋がったパターンです。大学生・大学院生で南極に行く場合はほぼこのパターンなのではないでしょうか。ただし大学→大学院のときに学び舎を変え(理系ではよくある)ていて、現在の指導教官ではなく前の教官、というのはちょっと変化球かもしれません。

 ちなみに感想の「想像以上に監獄だ」ですが、えっと、二夏の狭さについて言及しているのか、トイレすら過酷な二夏のことを言っているのか、はたまた二夏のことなのか、いったいどれのことなのでしょう。

2018年3月10日土曜日

観測隊/夏の過ごし方


 日本に戻るまでに続刊や新作が発売・再開されないだろうと予想したものとして、

  • Mount&Blade 2(*1)
  • Hunter x Hunter(*2)
  • 氷と炎の歌(*3)

があったのですが、Hunter x Hunterは早くも連載再開して続刊が出ていました。予想を外したぜ。Mount&Blade2も予定通りなら発売されるらしいし、これは氷と炎の歌にも期待せねば。頼むぞ、マーティン。
*1) 盗賊に出会ったら「金ならないが鉄ならあるぞ」と言って斧を振り回せば良いと教えてくれるRPG。スタジオが小規模。
*2) どん兵衛を送ると描くらしい。
*3) 海外ドラマ『Game of Thrones』の原作。最新刊は2011年の『A Dance with Dragons』で和訳『竜との舞踏』発売はその2年後。ちなみに前刊『A Feats for Crows(乱鴉の饗宴)』からは6年ほど間が開いているが、今回は『舞踏』からすでに6年以上開いてしまった。


 さて、例によってまったく関係のない話題で入ったようでいてまぁ関係ないのですが、『氷と炎の歌』の主人公らスターク家の標語といえば「冬来たる」ですが、昭和基地ももう冬です。夏隊はすでに帰路につき、最近は装輪車(キャタピラではない、普通のタイヤをつけた車。昭和基地ではトラック)も片付けられてしまったわけですが、今回は今更ながらに昭和基地の夏生活のタイムスケジュールを書いていこうかと思います。


 まず、夏期間の隊員のタイムスケジュールは以下のようになっています。


  • 朝食 0700-0745
  • 朝礼 0745-0800
  • 午前作業 0800-1145
  • 昼食 1200-1300
  • チーフ打ち合わせ 1240
  • 午後作業 1300-1830
  • 夕食 1845-1930
  • 全体ミーティング 1930
  • 入力 2000-2200


1) 朝食 0700-0745

特に何の解説も必要なさそうなところですが、落とし穴が。0700-0745という時間表記になってはいますが、実際はほとんどの人が7時頃から朝食を食べ始めます。7時45分には朝礼が始まってしまうことや、朝食の後片付けの手間があることなどを考えると、時間ギリギリに朝食を摂るのは得策ではありません。三食とも一夏の一階食堂で摂ることができます。

 朝食に限らずですが、夏期間の食事は砕氷船「しらせ」の海上自衛隊員が調理をします。この調理ですが、大部分の材料はどうやら野外に出るチームの糧食と同じ材料を使っているらしく、「どっかで見たことあるな」というものから、「なるほどこうやって料理するのか」というものも出て来ます。


2) 朝礼 0745-0800

朝礼ではやることは、

  • ラジオ体操
  • 本日作業内容確認

です。

 朝礼でのラジオ体操は建設現場では比較的一般的らしいです。朝礼は設営の建設担当隊員が中心となって行われ、体操のあとの作業内容確認では、大まかな作業内容や注意点、作業人数などを全体の前で報告します。ここではほかに、当直がその日の夕食を発表したりもします。


3) 午前作業 0800-1145

ここから本格的に作業が始まるわけですが、夏期間の作業というと大きくわけて2種類に分けられると思います。すなわち、研究か設営かです。


 →観測隊/観測構成の記事でも見た通り、隊長・副隊長および同行者を除いた隊員は、観測部門と設営部門に分けられています。

 観測部門というのは研究者のほか、気象庁の職員やモニタリング隊員(常設されている観測装置を扱う隊員)が含まれる部門です。
 一方で設営部門というのは、機械や建設土木、電気などといった観測基地を保つための作業を行う隊員が所属する部門です。医療や調理担当も、この設営に含まれます。


 設営分野はその担当者が複数いるのと同様に多岐にわたりますが、夏期間の設営の主役といえば建設作業で、それに関わる隊員やしらせからの支援の海上自衛隊員もいます。しかしながら忘れてはいけないのは、設営作業の主役は設営担当ですが、設営隊員のみが行うわけではないという点です。


 もちろん、南極での主たる活動は研究観測です。資源はなく、というよりもあっても条約で縛られていて採取できず、ただ寒く、薄暗く、見捨てられたような極寒の大地を好き好んで訪れる理由といえば、研究のための観測以外にないのです。もはや冒険家の時代は終わり、ただ南極に立っているだけでは誰も誉めそやしはしないのだから当然です。

 しかしながら、あらゆることどもよりも観測活動・研究活動が優先させるかというと、それはまた別問題。なぜならば、日本の南極観測隊が最優先としているのは「越冬成立」だからです。研究の前には生きていかなければなりません。研究の前に生きなくてはいけないし、観測の前にそのための場所を確保しなければならないのです。


 そういうわけで、設営作業には手の空いている研究隊員も参加します。この場合の「手の空いている」というのは「ただちに行わなければならない作業がない」という意味になります。

 わたしは一般観測研究の隊員で、夏の期間は野外(主に→南極/S17)に出ていた時期が長かったのですが、昭和基地にいた時期は設営作業に参加し、生コンクリートを引き摺り下ろしたり、バケツのバケモノみたいなものをブラシで擦ったり、鉄筋を、こう、なんだ、このクルクルっていうやつで、こう、アレしたりだとか、そういうことをしました。ちなみに設営作業に参加するとシールが貰えます。


 なお午前は10時ごろ、午後は15時ごろに「中間食」と呼ばれる時間があります。菓子パンや缶コーヒーなどが配られる、ようはおやつタイムです。寒冷の気温や重い作業の中において、甘味で安らぐのは重要です。


4) 昼食 1200-1300

お昼です。昼食と同様、早めに食べてしまいます。


5) チーフ打ち合わせ 1240

夏期間は毎日、基本的にふたつのミーティングがあります。そのうちのひとつがお昼に行われるこのチーフ打ち合わせです。名前からは各チームの首脳陣が集まるような仰々しい会合に見えますが、実際は食堂の椅子か床に座って行われるこじんまりとした打ち合わせです。

 内容としては当日の打ち合わせではなく、翌日の作業内容の確認となっており、この中で人員や車両の調整が行われます。


6) 午後作業 1300-1830

午前作業と同様です。中間食は15時ごろにあります。


7) 夕食 1845-1930

夕餉は朝食や昼食に比べると時間通りに食べるパターンが多いです。これは午後作業が思いの外、長引くパターンがあるせいかもしれません。

 ちなみに夕食後にビールが配布されたりもしますが、夏作業の間は夕餉の間に酒を飲むことはできません。


8) 全体ミーティング 1930

毎日行われるミーティングのうちの二つ目です。昼のミーティング(チーフ打ち合わせ)はすべてのチームがそれぞれ報告する形でしたが、こちらの全体ミーティングでは何か用件がある隊員/チームのみが発言します。


9) 入浴 2000-2200

入浴可能な時間はさほど長くはなく、この2時間のみです。洗い場は4つありますが、4人が入れるほどの広い浴槽ではありません。そのため、入浴時間帯には風呂場の前の洗面所付近で空くのを待ってたむろしている隊員の姿が見られることが多いです。


 以上が夏の昭和基地での日程となります。夏の過ごし方としては以上です。

2018年3月1日木曜日

隊員/気水圏一般観測研究夏隊員の場合


 この[隊員]ページ第59次南極地域観測隊の隊員のうち一部に個人的にインタビューをし、纏めたものです。個人の詳細については深く立ち入らず、内容は

  • 南極での仕事 :何をするために南極に来たか
  • 南極に来た経緯:どうすれば南極に来られるか

に集約されています。



南極での立場

一般観測研究(気水圏)の夏隊員。

南極での仕事

テーマ『全球生物科学的環境における東南極エアロゾルの変動』に関連した、砕氷船しらせ船上でのエアロゾル観測機器の保守点検および観測。
自分の観測としてエアロゾルインパクターを用いたエアロゾルの粒径ごとの存在の観測。


南極に来た経緯

2017年3月にテーマ『全球生物科学的環境における東南極エアロゾルの変動』の担当者から公募があり、闇会員となっているエアロゾル学会からのメールで公募の存在を知った。公募には期間や業務内容などが詳しく書いてあった。
実際に応募してみると、他に応募者がいなかったせいか、面接・試験等は特になく、すぐに採用されたものの、南極に行っている間の仕事を休むための手続きで5月までかかった。


南極の感想

予想以上に天候や気象条件が厳しく、想像していたよりも天候に左右される部分が多かった。
それと、こんなに料理をすることになるとは思わなかった





管理人から


 一人目。(今回の観測隊の中では)平均ちょい若めくらいの年齢の方です。夏隊員なので現在はしらせ乗船中で帰還中。ちなみにこの記事を載せていいかと許可を取りにメールを書いたら、律儀にしらせ船内の状況も報告してくれて面白かったです。「表面上はとても平和です。僕が知る限りはですが」とか。

 大学はエアロゾル関係(南極で行った観測内容)を学んでいたそうですが、現在はそれとまったく関係ないお仕事をやっています(*1)。それなのに観測隊に参加することになったのは、学会の「闇会員」だったからか。いちばん大変だったのは観測隊への参加ではなく、いかにして仕事を休むかだったようです。
*1) ちなみにエアロゾルというのは大気中の微粒子のことで、いろんな種類のものがそこらへんに浮いているのだけれど、日本で特に話題になるのは黄砂。

 S17に一緒に観測に出かける機会が多かったのですが、ご飯当番に指名されてしまったがために毎日メニューを考え、ご飯を作ってくれました。家ではほぼ料理はしないそうです。

 南極に来た理由に「奥さんから逃げてきた」と冗談めかして言っていましたが、えー、なんだ、これで終わりです。



© この星を守るため
Maira Gall