2020年7月5日日曜日

書籍化記録:2019年11月_シャイニング続編


 Amazonプライムで『カットバンク』を観る。
 ドラマ版『ファーゴ』と同じ監督という話。『ファーゴ』は映画版しか観たことがないが、一種独特の映画である。両方とも舞台がクソ田舎という点が共通している。

『カットバンク』が『ファーゴ』と大きく違う点が登場人物のひとり、ダービーにある。『ファーゴ』が変な顔の男なら『カットバンク』はダービーなのだ。
 ダービーはクソ田舎のさらに森の奥のような僻地に住んでいる(森の動物の剥製とかを作って売っている?)男性なのだが、本作ではこのナード野郎にしか見えないダービーが大活躍、などと書いてしまうとスチャラカしながら田舎町で起きた事件を解決する流れに見えてしまうが間違っていないようなそうでもないような。唐突にレベルを上げずに物理で殴りはじめるので驚く。あのぐらい大雑把に生きたい。



『シャイニング』の続編が出るとのこと。
 なぜか映画の話題が2つ続いてしまったので、長々となんか語っても良いかなと思い始める。『ラ・ラ・ランド』とか。ちなみに映画の話題が続くのは、書籍のほうだとゲームや漫画関連の話をほぼシャットアウトしている代わりに「映画なら大丈夫だろ」と盛り込んだ流れで。

 観た方はわかると思うけど『シャイニング』は本編はあんまり怖くなくて、たとえばジャケットにもなっているジャックが斧でドア壊すシーンで「あぁ、そんな雑な攻撃して」と心配していると反撃されたり、奥さんにあっさりワンキル喰らって謎の力でリスポン(保管庫脱出)したり、アヘ顔で凍っていたりと気軽に楽しめる映画である。

 ただ唯一めちゃくちゃ怖いシーンがあって、それがあの犬ですよ。
(観たことない方は「シャイニング 着ぐるみ」とかで検索してみてください)

 映画後半、実質的な主人公であるジャックの奥さんがホテルの中を逃げ回すシーンがあるのだが、その際に過去のホテルの情景と思しきシーンをいくつか見ることになる。そのうちのひとつが客室らしき場所で衆道的行為(婉曲表現)に耽っているおっさんと犬なのか熊なのかよくわからない着ぐるみを着た男。おっさんと犬男がカメラ側を向くシーン。あれが異常に怖い。

 何が怖いかというと説明するのが難しく、単純に犬男の着ぐるみの顔が気持ち悪いというのもあるが、得体の知れなさがものすごい。婉曲表現に耽っていたというのはわかるのだが、場違いさが溢れ出ていて、無理矢理地面から生えてきたような異物感が恐ろしい。牛肉の中から筍が生えているかのようなイメージ。何もかもが恐ろしい。



 第三章(越冬編)と、ついでに第四章+終章(帰路編)まで書き終わる。それぞれ6万字、2万字。文字数を抑えめにしたので早い。

 構成として、越冬期間のほぼ大半を扱った第3章は本来の期間に変換するとかなり長い。
 おおまかな流れとしては、

[2章]
南極出発前の準備行動

[1章]
2017年11月末:日本出発→オーストラリア着&しらせ乗船
2017年12月末:南極到着、夏観測開始

2018年1月末:夏期間終了

[3章]
2018年2月:越冬期間開始

|2018年9-10月:中継拠点旅行

[4章]
|2018年11月-2019年1月末:ドームふじ旅行

2019年2月:越冬終了、しらせ乗船
2019年3月:オーストラリア着&日本帰国

という流れになっている。つまり、出発前期間である2章を除くと、

  • 1章 - 2ヶ月ちょい
  • 3章 - 9ヶ月
  • 4章 - 5ヶ月

となっている。これだけ長い期間があればいろいろと語ることがあろうというもので、実際にあるにはあるのだが、越冬期間について長々と語るには二つ問題がある。

 ひとつはわりと内輪ネタ気味になりそうなこと。細かいネタは伝わらないので、あまり細かいことを言っても仕方がない。

 もうひとつは語れる範囲の問題である。
 このブログを書いているのは初校を終えた段階(すべての原稿を書き終えて確認する最初の段階)で、次に直す機会はもう再校しかない。
 再校では基本的に初校で直した部分がきちんと反映されているか確認するだけで、基本的には大きく直せないと言われているので、実質的にもう書いてしまったものは出てしまうと考えるほかない(こういう言われたところをきちんと守ろうとするのがダメだと思うので、再校では初校の5倍くらい直したい)。

 しかし南極観測では情報発信等に公序良俗とかにゃんかこういろいろ厳しくて。観測隊員として活動している頃よりは(7-9月の記事で書いたように)自由にはなっているのだけれど、下手すると出てすぐ発禁とかありそうで怖い。

 だいたい輸送の海上自衛隊(しらせ)関連がまず難しくて、そもそも観測隊と別組織だし「威容の保持(軍人らしくしっかり見せよう)」という概念があるから、あんまりアレに書けない。アレもまずいしこれもまずい、耐寒訓練(往路で南極が接近した頃に行われる、水着等で外に出て上から水かけジジイが現れる訓練)なんかもまずいかな……と思ったら『宇宙よりも遠い場所』のHPで出ていたり、どこまで良いのかがよくわからない。

 観測隊自体も南極が国際協調の場とか言っててうわーもっとクソみたいな内容書きたいんじゃという欲求が抑えられない。
 海氷上でそうめんするのは良いんだっけ。調べる。あるな。極地研のHPですら出てる。大丈夫。
 じゃあ観測隊がビン入りの宇宙人の脳に精神支配されていることは? 調べる。ないな。じゃあ書けない。わずかな望みはグリーマックスが明らかにフレイバー・テキストに無関心なことだ。 

 というような地味な流れをのちのちすることになるのだが、とりあえずこの段階では下調べせずに全部書き殴った次第である。

 編集へメール。
ひとまずこちらのほうで考えたぶんは書き終わりました。以下、だいたいの文字数です。
序章+第1章(夏):10万字(送信済)
第2章(南極に行くまで):2万8千字(送信済)
第3章(越冬):5万9千字
第4章+終章(越冬終わり〜帰国):2万字
3章以降、比較的少なめに書いたので1章が減らせればある程度少なめの文字数になるのではないかな、と思います。
そちら1章の確認はどうなっていますでしょうか?
とプレッシャーをかけていく。

 現況、正直言って編集との力関係を図りかねている。
 基本的に最終決定権があちらにあり、しかも正式な契約書類がない現況、優勢なのは間違いなく編集側だろう、と考えている。
 しかし今回は生産的な行動をしないことにかけては右に出る者がいない研究者に依頼して本を書かせるという話なわけで、とすると相手も「研究者って下手につつくとウィトゲンシュタインみたいに火かき棒持って暴れ回りそう」と思って下手に出てくるだろう。

 とすると、今回の出版は、

  • 決定権があるけど下手に出る出版社 対 裁量部分ないが強気に出られる研究者

という構図になる。いやだからなんだよという話ですが。







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Maira Gall