2020年7月9日木曜日

書籍化記録:2020年1月_ブリジット・クリアリー焼殺事件


 この日のために祈願としてAmazon PrimeのDアニメストア体験で『機動戦艦ナデシコ』を観ていた。

『よりもい』に乗っかって光文社が宣伝しているのにアレなことを言うが、実はテレビアニメはほとんど見ない。一定量をちゃんと見たことがあるのは、


  • 『機動武闘伝Gガンダム』(子どもの頃観た)
  • 『名探偵コナン』(同上)
  • 『08小隊』(友人から借りた)
  • 『ラーゼフォン』(同上)
  • 『TIGER & BUNNY』(企業とタイアップが気になって)
  • 『RWBY』(Vol5までYOUTUBEで)
  • 『宇宙よりも遠い場所』(南極で)


くらい(そもそも一人暮らしを始めてから家にテレビがないので、最近のやつは配信サイトでしか観られない)。
 あとは総集編や映画版、OVAも含めると、


  • 『風の谷のナウシカ』等ジブリ
  • 『グレンラガン』
  • 『戦闘妖精・雪風』
  • 『ポケットの中の戦争』
  • 『ガンダムSEED』
  • 『パプリカ』


くらいか……? 映画はけっこうだばだば観るし、ゲームも漫画も小説ももちろん好きで、特にゲームを好むのだが、アニメはあまり好かん。もちろん『ポケモン』とかも観たことはあるけれど、そんなに熱心ではなかったような。

 なぜだろう、と振り返ってみると、第一にアニメは(今は違うのかもしれないが)決まった時間にテレビの前にいなければいけない、というのが厭だった気がする。幼い頃から既に社会性がなかった。小学生の頃はピアノの教室に通っていて、ちょうど帰路がポケモンの時間帯に被っていたというのも理由の一端かもしれない。
 が、それ以上に大きいのは、アニメというのがめちゃくちゃ効率悪い媒体に感じるからかもしれない。

 自分は自分大好き人間なので、自分の中にあるものがいちばん良くて素晴らしいと思っている。だから綺麗な景色見ても「綺麗だなぁ」だけの感想で、むしろその道程で自分の精神に与える影響のほうが大事だったりする。
 だからたとえば小説とか読んでいても、小説そのものの物語が素晴らしいというより、小説が自分の中に形作られたもののほうが大事なのだ。

 森博嗣のエッセイ(たぶん水柿くんシリーズ。いやエッセイじゃ……まぁエッセイか)で、
「読むの早いね。3行ごとに読んでるの?」
「3行ごとに読んだら話がわからないでしょ。3ページごとに読んでるの」
 というようなジョークがあったが、実際自分の読書はこれに近くて、感動した話ほど物語を仔細には覚えていない。書いてある内容よりも、そこから想起されるもののほうが大事だからである。

 だいぶん脱線したが、なんだっけ、えーと、そう、アニメは効率悪いという話である。別の言い方をすればめちゃくちゃ贅沢だといえるかもしれない。
 小説だと一文で読者に想像させて済むところを、アニメだとそのものを視聴者に見せるために頑張って動かさないといけない。いろんな人が協力しなければいけない。それが面倒くさいと感じてしまう。あまり綺麗な絵を見ても大きな情動がないので、自分の中でのインプットとしては格段に効率が悪いのだ。
 オープニングは好きだが、それはオープニングは物語として観ていないからだろう。

 単純に受け身のコンテンツが嫌いなのかもしれない。スポーツ観戦とかも嫌いだし、生放送とか動画とかも見ない。実況動画とか何が良いのかわからない。Youtuberも知らんし、VTuberもマシーナリーとも子くらいしかわからない。
 そのくせ映画は普通に見るのは……なんだろう。なんだ。映画は謎だな。うむ。

 じゃあ一方ゲームはどうか、というと、話がだいぶ長くなりそうなので(しかも面白くない)のでこの話はここで切る。

 祈願ってなんだよと思われるかもしれないが、サバトのネルガルである(この文章を読んでいる読者のうち72%くらいは何を言っているかわからないと思うが、あまり親切な記事ではないので特に説明はしない)。幸い祈願が叶って引けたうえにネフィリムも召喚できた。
 
 初詣。ぶらぶらと徒歩で近くの神社仏閣に赴く。諏訪大社系列とおぼしき神社では神主さんから蜜柑をもらう。




 編集から、編集長が確認中であるとの連絡。良い度胸だ、かかってこい。




 唐突にNintendo Switchが欲しくなる。

 据置機はPS2が最後である。ちなみにPS2はワゴン常連の『バウンサー』のために買った。中学時代の友人のSが最初のムービースキップしてシオンを選択した場合の英語音声の「ドミニィーク」(日本語だと「下がってろ! ドミニク!」)という真似がめちゃくちゃ上手かったという、たぶん誰にも通じない思い出が。

 欲しくなったのは『リングフィットアドベンチャー』みたいな加速度センサーを利用したゲームが面白いな、と思ったからなのだが、しかし『リングフィット』は品薄で買えないし、ほかに何か欲しいのあったけな、うーむ、などと2時間くらいで悩んだものの考えるのが面倒になって購入する。




 Switch届く。小さい……小さいぞ!?

 とりあえず『ARMS』を買ってみたが、めっちゃ画質良いな、と思ってしまう。よくよく考えればPCゲーマーである以上はこの程度の画質見慣れているはずなのだが、上でも書いたとおりコンシューマー機はPS2以来なのである。あれでイメージが止まっているもんだから。

 関係ないこと喋るが(このブログはいつもそうだが)、PS2って初期のやつはわりと読み取りのレーザーが弱くて読み取り不良になりやすかったりする。
 若い読者は知らないかもしれないが、PSはCD-ROMのみ扱っていた一方、PS2はDVD-ROMとPS2用CD-ROM(と既存のCD-DOM)が使えた。PS2用CD-ROMってなんやねんと思われる方もいるかもしれないがたぶん圧縮方式やら何やらが違ってデータ容量が違うものと思われる。『スカイガンナー』とかがそうで、ディスク裏が青かった。

 CDやDVDは「光磁気ディスク」と呼ばれるが、これはレーザーの光を当てて熱した箇所に磁石を近づけると偏光方向が変わることを利用している(『まんがサイエンス』知識)からである。レーザーを当てて跳ね返ってきた変更がどうなっているかで読むのだ。
 だからレーザーが弱くなると読み取り不良となるのだが、初期のPS2は経年劣化でこの読み取り不良になりやすかった。しかし絞りを変えることで出力を戻すことができるということがまことしやかに囁かれている。分解するとメーカー保証外になるが、ハードオフでは大量のジャンクPS2が待っている。




 最近研究所のほうで市民向けのセミナーで話してくれという依頼があったので、そこで本の宣伝をすれば良いのではと思いつく。ひょっひょう金ぇ!
 いちおうお役所なので期日決定が早く、前年(今年)中に決めておかなければならない。のでいまのうちに編集に出版予定日を聞いておく。やることやらんといかん。

 新書である。初版も少ないだろうし、すぐに絶版するというイメージだ。
 個人的に新書は嫌いではなく、特に研究者の書いたものはその人間を研究ごとぐちゃぐちゃにかき混ぜて煮詰めた上澄みを凝縮したようで面白い。

 好きな新書を挙げると、たとえば平賀英一郎の『吸血鬼伝承』がそれだ。
 現存する吸血鬼像、つまり美男美女の白人というのは基本的にブラム・ストーカーの『ドラキュラ』の影響を強く受けている。もともとの吸血鬼は農夫や犯罪者で、火を吐きながら坂道を転がってくる肉袋だったりする。
 こうしたパターンはけっこう多くて、たとえばティンカーベル的な可愛らしい少女の姿の妖精というのはウィリアム・シェイクスピアの『真夏の夜の夢』からであって、もともと妖精というのは日本の妖怪に近い。湖に引き摺り込んで殺す妖精などもいる。
 現代に近づくとコボルトなんかもそうで、もともとは小鬼的な(害が薄く、ものによってはうまく付き合えるタイプの)妖精だったのだが、TRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で犬頭戦士の獣人に描かれてから犬頭で描かれるのが一般的になった、などという話もある。
『吸血鬼伝承』は本来の吸血鬼像に立ち返っており、さまざまな吸血鬼の姿や伝承を見ることができる。

 あとは下楠昌哉の『妖精のアイルランド―「取り替え子」(チェンジリング)の文学史』なんかも良い。
『妖精のアイルランド』の何が良いって、とにかく最初のブリジット・クリアリー焼殺事件が良い。
 ブリジット・クリアリー焼殺事件はブリジット・クリアリーが焼き殺された事件である(言い直しただけ)。ブリジットはアイルランドの農村に住まう女性で、うだつのあがらない農夫のもとに嫁いだが気立てがよく洒落者なうえ働き者で、などという描写がありつつ焼き殺される。犯人は夫のマイケル・クリアリー(とその親戚数人)だが、動機は「妻が妖精と入れ替わっていたから」というこの事件、なんと19世紀末、つまり日本だと文明開化した明治期の事件なのである。当時の日本でも「妻が妖怪だったから殺した」という事件はないだろう……と思ったけど時代を遡れば狐が家族に化けていたから燻り殺した(けど狐の幻覚だった)、という話はあったはずなので、比較的現代でも探せばありそうだな。今度探してみよう。

 ちょっと古めなところにいくと宮岡伯人の『エスキモー 極北の文化誌』で書かれている伝承「セドナ」は好き。
 これは犬に嫁いだエスキモーの女性が父親に裏切られ、指を斬られて片目の女神となり、海の底に横たわっている、という話。

 女はセドナとなった。いまセドナは下界の、石とクジラの骨でできたじぶんの家にすんでいる。目はひとつしかない。歩くことはできず、片脚をおり、他の脚をのばして、いざれるだけである。父親はというと、おなじ家に娘とすんでいるが、テントをかぶって横になっているだけである。犬はその戸口にいる。
(宮岡伯人, 1987: 『エスキモー―極北の文化誌』, 岩波新書, p91より)

 という描写で終わる。恐ろしく不気味で気持ち悪く美しい。セドナの民話は一種の生物創造(アザラシがセドナの指から生まれたりする)なので、原初の神々のような性質もあるのかもしれない。

 そんなわけで新書は面白いものが多いのだが、初版部数が少なく、一度買い時を逃すと(昨今はネット通販があるから中古で買いやすくなったとはいえ)なかなか買えない。買い時は逃したくないものである。遠回しにおれの本を買ってねと言っています。
 編集からの回答で、6-7月であろう、ということでそれに合わせてセミナーにしようと思ったがうまくねじ込めなかった。まぁいいや。何事も予定通りに行くとは思えないし。




 Amazon Primeで配信している『The Boys』を見終わる。

 正直序盤から中盤にかけてかなりイライラするのだけれど、最終話になって異様に面白かった(銃撃戦のコントとか)。中盤でもいちおう赤ちゃんビームみたいな面白いところもあるんだけれど、基本的にただゲスなシーンが多くてさほど面白くない。シーズン2以降は最終話みたいなスチャラカバカを継続的にやってほしい。

 ディープが面白すぎる。




『リングフィット』が買えないので代わりに購入した『Fitボクシング』をプレイしているのだが、日頃運動不足なのでごほっごぼごぼとなりながら拳を打ち込んでいる。
 画面ではCV:上坂すみれのキャラが一切呼吸を乱すことなく殴りかかってくるので「すみれ、勘弁してくれ………」と呟いてみる。









2 件のコメント

  1. 久しぶりに読み返そうとブログを覗いたら…更新されてる!そして書籍化!?
    予約しましたありがとうございます。
    アマプラでみた映画のレビューブログ化も密かに期待してます。

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    1. >ダイスケさん
      重版された版数だけ胸ポケットに忍ばせておいて銃で撃たれたときに「重版していたおかげで助かったぜ……!」といえるくらい売れてほしいので予約ありがとうございます。

      >アマプラでみた映画のレビューブログ化
      すごい趣味的で偏ったラインナップになりそうですね。

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Maira Gall