2020年7月7日火曜日

書籍化記録:2019年12月_天元無限智勇双全ブラスターマスターゼロ2


 第1-2章が4章に分けられて戻ってくる。編集曰く、「かなり大幅にカットし、原稿を入れ替えています」とのこと。実際、大幅に削られていたうえ、


  1. 航海
  2. S17観測
  3. S17と昭和基地と船の往復
  4. 過去追憶
  5. 昭和基地で越冬開始
  6. 中継拠点旅行
  7. ドームふじ旅行


という章構成になったわけである。

 こうなると1章のパンチ力が弱い。しらせは船であり、航海中の南極感が薄い。とりあえずのっけに金の話をブチ込んでみたものの、パワー感が足りない。最初にぶん殴ってから始めるぐらいの初動が必要である。
 しかし序章で(長いし冗長だから外すかと思って勝手に削除した)S17でのブリザード描写を戻して欲しいということで、それならまぁ最初に南極感がある描写が入るからアリか……ということで進める。

 1章が完全に航海部分になり、2章が大陸氷床斜面S17での活動、3章がS17と昭和基地の夏(S17については大半2章で語ったので昭和基地がメイン)という形で、章は細分化されたがそのぶんだけ場所が分けられて立地的な差異がわかりやすくなった……と思う。たぶん。

 章分けというおおまかな区切りはそんなところだが、細かく削除・添削されていた場所もあった。特に気になった部分は以下である。

タイの男の半分はゲイ。もう半分はゲイになる。
タイ人留学生による心に残るパワーワードだったのだが、削除されていた。

ちょうどダブルラリアットをしている屈強なプロレスラーにダンプカーが突っ込んできても弾き飛ばされるように
「ちょうどダブルラリアットをしている屈強なプロレスラーのように」に修正されていて、ダンプカー部分が消えていた。もしかして編集はプロレスラーがダンプカーを弾き返せないと勘違いしている?

キン肉マンの超人もいる。タイガーマスクもいるし、サンダーライガーもいる。ザ・グレート・サスケも。多すぎる。覆面レスラーが多すぎる。
は丸ごと削除されていた。
 光文社はプロレスを忌み嫌っている……?🤐 いやわたしもあとはヨシヒコとケニー・オメガくらいしか知らない程度のプロレス知識しかないのだが(両方とも覆面ではないが)。

何よりも大事なのは、喰って飲むことである。フリーマントルは港町だ。海老がでかいし、酒が美味い。Little Creaturesという名の地ビールがあるのだが、これがとても生臭い。上流住宅街に生えているハイソな草みたいな匂いがして生臭いのだが、これが美味いのだ。
しらせが出発するオーストラリア港フリーマントルの地ビール、リトル・クリーチャーズの宣伝が消えていた。金もらって宣伝していたわけではないが、好きなのに。誰か送ってください。

大事マンブラザーズバンドの「負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じ抜くこと」という歌に対してと同じくらい「どれが一番なんだよ」と言いたくなるが
歌詞は大事マンブラザーズバンド『それが大事』(1991, 作詞・作曲 立川俊之)より。

たとえば結婚については、
「子どもは可愛いですよ」
「それに子どもは可愛いし……」
「あと子どもが可愛い」
という有用なアドバイスがいただけた。
あまりに有用なアドバイスすぎて消されたものと思われる。


 逆になぜか残っていたものとして、
南極の研究観測活動でいえば花形だ。野球なら四番、フルコースならメインディッシュ、機動戦士ガンダムならゲルググだ。
があるのだが、果たしてゲルググは花形なのか。
『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』ではドムがスーパースターで、スピード感がそれまでの機体とまったく異なっており最&高なのだが、一度ドムを使い始めると他の機体が遅すぎて戻れなくなるという弊害もあった。



 Steam版『ブラスターマスターゼロ2』をクリアする。

 リメイク(正式にはリメイクではないらしいが)元の『超惑星戦記 メタファイト』はファミコンで1988年に出たゲームで同い年じゃねぇか、さすがにプレイしたことはないのだが、『ブラスターマスターゼロ』は南極で3DSで遊んでいた。見た目はレトロながら洗練されたデザインでテンポが良く、ガイアシステムが素晴らしい。何より演出が良かった。ゼオグセブってこいつ、魂斗羅スピリッツのラスボスじゃない?(SFC世代感)

 あとイラストレーターの夏目裕司のコメントが、



などと酷くて好き。

——人類の”新しい性癖(instinct)”を・・・生み出してみたいと思った
(上のTwitter画像より引用)
は名言。夏目くん大丈夫か。

 余談になるが、『悪魔城ドラキュラ』シリーズのIGAがキックスターターで1000%を超えて出資を受けた『Bloodstained』というゲームがあるのだが、本編である『Ritual of Night』のほかに、キックスターターのストレッチゴール達成の結果として8bitふうアクションの『Curse of the Moon』が発売されている。
 3Dで美麗なビジュアルの『RoN』に対して『CotM』は2Dのレトロなドットゲームなのだが、演出で言えばCotMのほうが優れていた。ゲームとしてはどちらも面白いのだが、特にファイナルアタックの点でCotMは演出に優れる。このCotMを開発していたのが『ブラスターマスターゼロ』シリーズのインティ・クリエイツである。女の子を機械に繋ぐのが大好きなだけの会社じゃないんだぞ。

 さて『ゼロ2』だが、ここまで綺麗に(そして欠点を残したままで)続編に昇華させた作品も珍しい。次回作では移動システムはもうちょっと改善してください。それ以外は文句の付けようもない。あ、いや、でもあの梯子飛び移ったりするステージは勘弁して。

 こういう(見た目)レトロなゲームについて熱く語っていると『異世界おじさん』感がすごいな。南極は異世界だからあんまり間違ってないし。
 実際、レゲーではないが、
「Figureheadsが繋がらない……!? なんでだ、たかふみ!?」
「おじさんが南極行ってる間にFigureheadsは終わったよ……」
「War of the Brainsも! またメンテか!?」
「ウォーブレも廃村したよ」
「リブートしたのに!?」
「リブートしたけど……」
という具合だったから。



 猫が人を駄目にするクッションの上で尿をする。猫に駄目にされた人を駄目にするクッション。そうだよなぁ、中のビーズが砂みたいなもんだもんなぁ………!
 カバーが尿に侵入を防いではいたものの、

・洗ってもまたされてしまう
・クッションで慣れて布団などでされると困る

ということで捨てることを決意。ちなみにこのクッション、初任給で買ったもののような気がする。



 新1-4章に朱を入れたものを返送する。
 いくつか気になったところを記述して、具体的には以下のようなことを編集宛に書く。

・口語的な部分について
→体言止めが多くなってきて、特に「こと」で終わる表現が口語的すぎるのではないかと思いました。
これはターゲットとしている層がどのような層なのか、という問題もあるのですが、転換に「じゃあ」という表現や感嘆符の多用があるとあまりに軽くなってしまうと思います。
「〜ということ」「〜だから」というような表現も口語的で、わかりやすく読み聞かせているような印象を感じるので、「〜ということである/ためである」もしくは「〜ということだ」という書き方のほうが良いのではないかと思います。
また、「次章で綴ってみよう」「どうなってしまうのか?」といった語りかけが親しみを感じさせるものになっていますが、「親しみが持てる研究者(=一般的な研究者の怜悧な像ではなく柔和で親近感のある存在)」ではインパクトが薄く、「南極で異常な行為を淡々と行う頭がおかしい人」のほうが売れるのではないでしょうか?
もしこの本が想定以上に売れる可能性があるとすれば、SNS等で拡散されることしかないのだと思いますが、そのためには一言で述べられるような要素が必要で、「この本は南極について詳しく書いた本です」だとか「親しみやすくわかりやすく解説している」とかそういう丁寧な話ではなく、真面目にバカなことを書いているだとか文章が意味わからんだとかそういった取り繕っていない部分で押したほうがまだ可能性があるのではないかと思います。
要はこれ、「わかりやすくするな」「優しくするな」「親しみを持たせるな」ということで改めて読み返すと何言ってるんや山岡はん感が強い。
 しかし個人的には理解できる(そりゃそうだ、自分で書いたんだから)話で、ぶっちゃけ親しい知人が書いた本とか読みたくない。わかりやすく読み聞かせしてくれる話よりも、得体の知れないじゅるじゅるした生き物のほうが興味が湧く。

 昨今はSNS等でどんな媒体であれ作者と読者(視聴者)の距離が近い時代であるが、距離感の近い作家というのはべつに嬉しくはない。神林長平に会いたいとは思わないし、マーティンに会っても「ダイエットして『冬の狂王』をさっさと書け。『Elden Ring』に協力している場合か」とビンタするイメージしかない。そういうわけで、親しみの高さは捨ててもっと気持ち悪さを推したいのである。

・主語について
→上の内容と関連しますが、「我々」「わたしは」という主語が多く追加されていますが、省略した方が読者が入り込むのに良いのではないでしょうか?(個人的な内容の多い序章と4章は例外ですが)
これもわりと何言ってんだよ感が高いが、改めて見返すとやっぱり何言ってんだよ感が強い。編集は研究者のこういうコメント見て適当に相槌打たなければいけないから大変である。苦労がしのばれる。

・目次に統一性が欲しい
→序章より先に読者が目に入るのが目次なのだから、当たり障りのないもので済ませないほうが良いと思います。
長く書いた怪我の功名というか、章が分割されたのである程度期間に広がりができたので、目次で時間の幅がわかるように日付(年と月)を入れた方が良いと思う、ということで以下のように追加しつつ、各節もいくらか変更しました。
これは比較的理解ができる話で、なんというか目次というのは説明書である。
 昨今は電子化されることが多く、説明書を読む機会は本当に減った。しかし説明書は楽しかった。正直ゲームやらなくて説明書だけでも良いレベルで、それでも足りなければ昔は攻略本があった。SFCの時代は実際にゲームを買わず、攻略本で済ませていた物もあったくらいである。

 もともとの目次というか章タイトルは最初の送付時点では、

  • 1章:お金持ちにはなれない
  • 2章:少年Aから始めよう
  • 3章:ヴァルハラ
  • 4章:No Money, No Pride

 というものだった。まぁわりと問題があるのでこれが修正されるのは仕方ないとして、章の中の節にそれぞれ日付を振っていた(たとえば「2017年12月2日、しらせ出港」のように)のだが、それも削除されてしまった。しかしこうなるといまひとつ統一性が感じられない。
 完全に新規の客がどういう要素で本を買うかというと、まず手に取るかのとっかかりとなるのはタイトル8割、表紙2割くらいだと思うのだが、手に取らせたあとは最初の2、3ページ(本文に入る以前)で興味を引けないとアウトだろう。つまり目次である。

・機械にはいくらか規格や型番が入っていたほうが良さそう
→しらせやヘリ名称について、いくらか規格の数値部分を戻しました(全長など)。
サイズ感に意味があるというよりは、数値的なものや型番があると男性としてはなんとなく格好良さのようなものがあるかと思います。
女性でも、自販機の高さが183cmなので小栗旬や向井理と比較したりして感じいるらしいので、一見してただの羅列にしか見えない数値データが興奮を掻き立てるものになるのではないか、ということでしらせのデータを戻したり、ヘリの型番(AS350など)を追加しました。
何言ってんだこいつ。

 そのほか、細々とした部分を修正し、その旨を書いた。たとえば、

P2 :「地球全体の課題解決に向けて」
「地球の諸問題を解決する」「環境問題を解決する」「人類の役に立つ」という方向になってしまっている気がするが、あまり人類貢献的な話になると趣旨がずれる気がする。

P10:耐寒訓練に関して
サンダーライガーやタイガーマスクの名を出すのはまずいのか? 近年ではプロレス関係は受けないのか?

P4:昭和基地の素敵なホテル
「素敵な」という皮肉がフランス革命的で少し気になる。

P8:「1月7日。我々は数日前に待機チームの名を返上し、この日、既にS17に戻っていた。」
同じネタは2回がせいぜいと思われる。
(*「大気チーム」と「待機チーム」をかけたネタが出てくる二度目の文章。しかし思い返してみると、これ自分で書いたのでは?)

P16:電気を失い、チームの空気はかなり重くなった
このあたりも仲良しグループのような感覚がある。

P2:「ポンとそれだけの金を出せれば、南極は遠くない。」
「札束でペンギンの頬を叩く」という表現はまずいか?

P11:「やはり南極の気象観測は大切だと言いたい。」
あまり言いたくはない。
昨今、日本のノーベル賞の受賞などがあると受賞した科学者が「基礎研究は大事。基礎研究にもっと国は力を注ぐべき」というようなことを言ったりするが、個人的にはあまりそういったことは思わない。無駄といえばその通りで、もしかすると発展的な内容が生まれるかもしれないが、ほとんどは無駄である(序文では糞尿にたとえているが)。
全般を通してだが、「(基礎)研究が尊く、人間の未来に通して必要であるもの」ということを書くのではなく、「とりあえずそれで成立している仕事」として書きたい。
(*ノーベル賞受賞科学者がというより、その周りか)

 などである。以前のメールを見返しつつこの記録を書いている(引用くくりは注記がない限り原文ママ)のだが、見返すにつけ「編集者にならなくて良かったなぁ」と思う。




 編集から1〜4章へのコメントに対する返信が戻ってくる。
 たとえば上の、
・「サンダーライガーやタイガーマスクはまずいのか?」という疑問に対して、「ストーリーとしてつながるように全体を整えることを最優先にして長い表現を削った」
・「ペンギンの頬を札束で叩くのはまずいのか?」という疑問に対して、「少しきつい言い回しなので一旦カットにした」など。




 メガクリスマス!

『スナック バス江』と『VA-11 Hall-A』を混ぜた同人誌、『Bar バル原』を出すというサークルがあるというのを聞いて本が欲しくなる。





 年休取って年末年始休暇に突入。
 めまいが通って7章3節クリア。怒闘で残りひとりのギリギリ。ありがとうアラストール。




 年末に入ってから、南極で中継拠点旅行中に発症した顎関節炎に似た状態で左の顎が熱を持って痛い。口が1cmくらいしか開けられず、隙間から辛うじて食物を入れても咀嚼できない状態が2日ほど続いていた。ひどくなったときにちょうど年末に入って病院が閉鎖状態だったため寝るしかなかった。

 バイクもバイク屋に預けてしまっているため、歩行の振動ですら響く痛みを堪えながら薬局に相談してみたところ、恒例のバファリン。
 そして効くバファリン。洋画で洗面台でバファリンを煽るわけである。ようやく落ち着いて寝正月を迎えられる。







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Maira Gall